ふじみ野救急病院 視察レポート (8/28日訪問)

「“救急”の視点を取り入れた医療づくりを」

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日々奮闘してくださっている医療機関の皆様には感謝の言葉しかありません。

今回、約1年と半年、新型コロナウイルス感染症対応に奮闘されている埼玉県入間郡三芳町「ふじみ野救急病院」(開院時はふじみ野救急クリニック)にお伺いし、コロナの現状や今後目指すべき方向を聞いてまいりましたでの報告させていただきます。お話を伺ったのは副院長兼看護部長の板垣光純(飯能市在住)さんです。

2018年 ふじみ野救急クリニック 開業

「24時間365日対応の救急クリニックとして、軽症から重症までを幅広く受け入れる」

「遠方にある病院へ時間をかけて運ぶ前に、近くの救急クリニックでまず心肺蘇生処置をして、そのあと検査をしたり病院で治療すれば、救命率は上がり、後遺症に苦しむ方が減るのではないか。また、救命センターでは初療を行ったあと各診療科へお願いすることが多く、その患者さんがどのように治って、退院して、地域で暮らしているかというところまで携われない。すべてを含めて地域の方々の命を守っていきたいと思い開業した。」

(鹿野院長インタビューの記事から抜粋)

まず、開業当初より医師、看護師、スタッフに、この精神があったからこそ今回の新型コロナウイルス感染症に完全対応できた病院だという事がよくわかりました。

現在の体制に至った流れ

◆日本一のPCRセンター設置 (板垣副院長は野戦病院と呼ぶ)

  • 2020年 病院裏にある農地を利用。10月、行政の協力を仰ぎ話し合い開始。11月中旬には稼働した
  • 1000人ほどは対応できるドライブスルーPCR検査の他、発熱外来センター、ワクチン接種、臨時病床19床。
  • PCR検査は、即日に検査結果を出せる体制づくり。検査会社の取締役自ら泊まり込みで対応。

    新型コロナを広めない為には「火が付いたら 即、消す」スピーディーさが求められる。

◆100%コロナ体制にシフト

  • 2020年12月に入院患者対応を100%コロナの体制に切り替えたことにより、いつでもコロナ患者を受け入れる態勢が整えられた。重症患者の受け入れも可能に。

    開業当時からクリニックでは導入が難しい高度救命救急センター並みの医療機器設備が元々あったこともスピーディーに対応できた要因の一つと考えられる。

ふじみ野救急病院が新型コロナに特化できた理由

◆救急医療のエキスパート集団

元々この病院は急を要する患者さん向けに作った「救急病院」である。救急には災害も含まれる。今回のコロナ禍も災害の一つ。救急医療を目指すスタッフは、元来、患者さんの為に身を挺して働きたいという気持ちを持っている。コロナ100%へ舵を切ることに疑問がなかった。

◆スタッフ安全・安心であることの見える化

見えないものの不安を払拭。スタッフ全員、週に1度のPCR検査を自費で行っている。

経営上の課題 

一般外来の受付はしているが、風評被害もあり少ない。コロナの波が落ち着く時期は一般外来が減少しているので経営的にはけして順調でない。

ワクチン接種と第6波について

日本では接種2月中旬ごろから基本高齢者、医療従事者等、段階を追って接種開始。

約半年、接種後の約150人の状況を追っているが接種した方の感染はほぼなく、接種後、検査で陽性が出たとしても、粘膜に微量のウイルスが付着しているのか、体に入り込まないのか、入ったとしても体内で増殖しないのか不明ではあるが、翌日には陰性というケースが多い。

将来性の安全性は確立されていないものの(ワクチンに副反応等出るのは現存する他のワクチンも同じ)、今の状況を変えるにはワクチン接種は有効。反面、接種されてない方は感染しやすく、重症化する方が多い。

現在のワクチンは高齢者に非常に有効で変異株にも対応している。その代わり、20代、30代、40代は効果がないのか(接種出来てない方が多いから?)は明確ではないが重症化しやすく死亡に至るケースも多い。

このコロナは今後も変異しながら増殖すると考えられるので、11月以降、冬場に向けて変異種が広まり、それに現状のワクチンが効かなかったら今以上に大変な状況になると予想している。(板垣氏は地獄絵図と表現)

保健所・自宅療養・医療機関にについて

現在、陽性者入院管理は保健所が一括管理している状況。

自宅療養でパルスオキシメーター酸素飽和度が「90」を切った状態で入院されても、正直、病院でできる事は少ない。新型コロナウイルスの増殖は非常に早くその時点では重症化している。

すぐ、入院出来てカクテル療法というのが理想的(カクテル療法:日本では今年7月、特例承認された。厚生労働省は当初、投与後の容体悪化に対応できる医療機関や宿泊施設で、入院患者のみに投与を認めていた。各地の病床逼迫を受け、外来患者に対しても投与を認める方針に転換した。しかし、新型コロナは感染力が非常に強いので一般外来との混在は危険)

自宅療養でも酸素吸入が出来ればまだいい。

訪問診療、訪問看護等あまり確立されていない地域が多いように感じる。これを契機に変えられるはず。

今すべき医療体制と今後の医療体制について

◆現在の病床の危機を補うための臨時病棟は早急に手配するべき。感染は先がある程度予測できる災害。公民館利用でも構わない。波が落ち着いている時に酸素ボンベ供給の提携をしておくとか、緊急時の医師の提携をしておくことも重要。人材(看護師)は、医療系の派遣会社の人材を活かせば対応できるはず(人材に財政投入を)。

◆高齢患者中心の病院が、急に「救急」医療にシフトすることは簡単なことではない。各地区に一つでも「救急」に備えられる病院の創設が必要ではないか。今回の新型コロナだけでなく、昨今の気候変動による災害にも備えられる「救急」の視点を入れた医療づくりが必要と考える。

医療従事者の現状

7月連休後の感染者急増から全く休みがなく、疲れもピークである。(6~7週間休みない)使命感で働いている人ばかり。

屋外の臨時病棟病室にはクーラーがあるが、一歩出れば耐えられないほどの暑さの中で遂行している。

第5波は少し収束してきた感覚はある。(訪問した28日は土曜日という事もあるが、だいぶ落ち着いてきたとのこと)

総括

先にも書いた通り、ふじみ野救急病院は開業時から緊急時に対応できる体制が整っていたからこそ新型コロナに対応できたのだと感じました。ニュース等で入院先がなかなか見つからないケースもほぼ受け入れるので遠方から来て入院される方も多いそうです。飯能市からの入院搬送は少ないので重症までいかない罹患者が多いのかもしれないとのことでしたが、反面、自宅療養者が多いのではと感じました。自宅療養者含め、各市町村には個人の情報は全く入らず、市が支援体制を整えてもご本人(家族)からの申請を待つのみ、という状況を改善しなければなりません。

次に来るかもしれない「波」を見据えた対策をしなければなりません。実際、この病院ではコロナ専用の大規模な病棟を近いうちに都内に作る計画があるそうです。臨時病棟も実際計画してから約2か月足らずで実現できているのは、行政と医師会の動き次第と感じました。

保健所頼みの入院コントロールの見直し、自宅療養者を減らすための病棟づくり、訪問診療の体制づくりを冬に予想される新たな波が来る前にできうる対応が必要と感じました。

また、飯能市だけの話ではありませんが、これからの医療機関の在り方として、高齢者に重点が置かれている地域の医療機関にも「救急」という視点を取り入れていくべきと感じた次第です。

リンク

ふじみの救急病院 https://koyu-kai.jp/

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